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ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来【書籍レビュー】

はじめに

『サピエンス全史』著者の新作『ホモ・デウス』の下巻を読みました。本書では、上巻を受けてさらに今この現代がどのようになっていて、これかどうなっていくかの可能性を示しています。人間至上主義という宗教が今は主流だが、一部ではデータ至上主義という宗教が発生しているという見方が秀逸でした。今私達が生活しているこの状況を新しい観点で見ることができるようになった気がします。

本書の概要

「私」は虚構なのか?生物はただのアルゴリズムであり、生物工学と情報工学の発達によって、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊する。『サピエンス全史』の著者が描く衝撃の未来!
アマゾンWebページより

宗教とは何なのか

宗教とは、と検索すると様々な定義や議論があります。Wikipediaでは下記とされています。

宗教(しゅうきょう、英: religion)とは、一般に、人間の力や自然の力を超えた存在を中心とする観念であり、また、その観念体系にもとづく教義、儀礼、施設、組織などをそなえた社会集団のことである。

そして、キリスト教やイスラム教などが例示されます。これらの例を見ると、宗教というのは超自然的な力や神の存在であったりを信じることが宗教のように思うことがあります。しかし、そうではなく宗教は人間が社会をうまく成り立たせるために創り出したもので、社会的な機能によって宗教は定義されるものなのです。

人間の法や規範や価値観に超人間的な正当性を与える網羅的な物語なら、そのどれもが宗教だ。*1

現代の多くが信じている宗教は人間至上主義です。我々ホモ・サピエンス(人間)全員が長生きし、毎日に幸せを感じ、圧倒的な力で地球を制御することを善とする宗教です。誰しもが長生きしたり、幸せを追い求めたりすることは当然良いことだと、現代の多くの人は考えていると思います*2。しかし、例えば太古の狩猟採集民ではアニミズム*3の信奉者であり、人間だけを特別視せず、人間含む動物及び自然などの全てを等しく扱う価値観をもっていました。

データ至上主義というポスト人間至上主義の可能性

データ至上主義では、森羅万象がデータの流れからできており、どんな現象やものの価値もデータ処理にどれだけ寄与するかで決まるとされている。*4

乱暴な言い方をすると、TwitterやFacebookで「いいね!」をいっぱい稼いだ投稿が正義!巨大なデータ処理システムへたくさんのデータを送りビッグデータの一部となることが大正義!送ったデータがどのように処理されるか細かいことはわからんけど!というものです。
既に私はこの感覚がわかってしまっていました。自分が死んでも、自分が残したデータがシステムに残り、それが後世の役に立つならば、私はこの世界で行きた意味があったのではないかと、自分に意味づけができるのです。仮に自分が不幸であっても、なんと幸せなことか!と。これは、先の人間至上主義とは異なる価値観です。ただし、現状の私は人間至上主義7割データ至上主義3割くらいかなと思ったりもします。
このデータ至上主義によってテクノロジーが発展すると、データ処理システムの方が私以上に私自身を知っており、私は自分で考えるよりもシステムに委ねたほうが進むべき道を決定できるようになるのです。既にこのような宣伝を皆さんも見たことはあるのではないでしょうか?amazonのおすすめ商品などはその筆頭です。
amazonがおすすめ商品を提示することは当然知っていたのですが、歴史の流れからこれからの主流な宗教観の可能性を説明できる先駆けになっていたとは衝撃でした。

おわりに

ホモデウスの上巻下巻を読み切ったのでレビュー、感想を書きました。感想を日記内にとどめず、ブログに書く行動もデータ至上主義的な行動の一つです。今後世界がどのように変化していくか、ということは肌で感じ続けることになりますが、それがどのような意味になるか考えるにあたり本書は非常に強力な羅針盤になることと思います。素敵な書籍を上梓いただいた著者ハラリ氏と訳者柴田氏には圧倒的感謝です。*5



*1:ホモデウス上巻223Pageより

*2:宗教によって常識は定義されるのではないかと思います

*3:生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方

*4:ホモデウス下巻209Pageより

*5:巻末には索引までついております