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マンガでやさしくわかる学習する組織【書籍レビュー】


はじめに

Googleの研究結果で生産性の高いチームは心理的安全性が構築されている、という報告があります。最近私自身も心理的安全性が構築されたチーム活動を経験することができ、心理的安全性そのものに興味があります。そんなときに、本書をオススメしてもらい読んでみました。その感想です。

Prologue なぜ、人と組織は変われないのか?

  • 変化に対して不安が先行すると抵抗につながる。自らが理解し、腹落ちすることで人は自発的に変化する。相手を変化させようとするのは危険。
  • 関係の質からスタートするのが結局は組織変化の最短コースなのではないか。

必修!ダニエル・キム(MIT教授)の「組織の成功循環モデル」まとめ

Part1 学習する組織とは

  • 学習する組織とはメンバ全員で一緒に課題に向き合い目的地までの解決策を検討し、適宜状況理解のための振り返りを行う勇気あるチーム。
  • この学習する組織を実現するためには、共創的に対話する力、複雑性を理解する力、志を育成する力を活用していくことが効果的。
  • 他責や無力感の根っこは、受け身の姿勢であること。
  • 能動的な姿勢が受け入れられる、評価される環境が必要。しかし、会社としては社員が勝手に動かれるのはなかなか怖いだろう。

Part2 システム思考

  • システム思考のシステムとは、相互に作用し合う要素の集合体。
  • システム思考は、現実の複雑性を理解し、望ましい変化を起こすために、物事のつながりや全体像を見て、その本質について考えるアプローチ。
  • できごとの表面のみを見た対処では場当たり的になる。氷山のように海の中にある見えているよりも巨大な氷(全体像)を観つけて対応を考える。
  • 全体像を知る第一歩は測定しパターンを見つけること。
  • 相互作用の基本構成 1. 自己強化(口コミ↔顧客) 2. 平衡 (受注数→稼働率→納期の遅れ) 3. 効果発生遅れ (サプライチェーン間の情報)

Part3 共創的コミュニケーション

  • 相手に真摯に問いかけ素直に受け入れる。自分の主張は仮説として提示する。
  • 相手と共感しありのままを受け入れ合うべき。そして、気になるところに対しては「私は○○と思う」と伝える。
  • 共創的コミュニケーションを実践するには、「チーム学習」の能力が必要。
  • 「チーム学習」とはグループで一緒に、探求、考察、内省を行うことで、自分たちの意識と能力を共同で高めるプロセス。
  • 特に、内省により関係の質向上を期待する。
  • つまり、進捗管理ばっかりしてもしゃあなしやでぇ。
  • 人数が20〜30名を超えるような組織では、複数のチームがネットワークを構築していると見る。

Part4 志を育成する力

  • 主体的に自ら選択し(マインドセットをつくる)行動することで周囲に覚悟を示すことができる。
  • 現実をありのままに直視し、それを受け入れる力が志を育成する力につながる。
  • 「私のビジョン」が「私達のビジョン」へ変わるとき共有ビジョンとなりチームの原動力となっていく。
  • チームメンバ全員が創造的行動をしなくても良い。家族や別の活動などにより、追従的行動となる選択も認められることが肝要。
  • ノルマ未達などの恐怖によるコントロールは創造性を損なう。それでも評価するためにはノルマのような数値目標が必要でもある。会社組織全体の運営は難しい。

Part5 学習する組織の実践プロセスと戦略の構造

  • 組織に必要な3種類のリーダ。新しいことを行っていく現場リーダ。組織内を広範に動きつなげるネットワーク・リーダ。組織環境を整え反対勢力への守護神となる役員リーダ。
  • 20人前後のチームが学習する組織の能力を実践できるレベルに到達するまでに平均で6〜8ヶ月。

おわりに

心理的安全性は共創的コミュニケーション、対話によって生まれてくると理解しました。本書では表現されませんでしたが、チームビルディングという言葉からの考え方でも似たようなものになるのではないかと考えています。
原著ではなく、「マンガでわかる」でもきっとしっかりと要約されており、効率的に学べたのではないかと思います。