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FACTFULLNESS ファクトフルネス【書籍レビュー】


私はたくさんの思い込みをもって世界を見ていました。低所得国に暮らす女子の初等教育修了者の割合や世界での電気普及率などチンパンジー以下でありました。そんな思い込みを正し、また人間の本能に立ち向かう術を提案してくれるのが、本書「ファクトフルネス」です。世界の姿を正しく捉えて不安を解消しませんか?

誤った思い込みを促す10個の本能

1. 分断本能 〜「世界は分断されている」という思い込み〜

2. ネガティブ本能 〜「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み〜

3. 直線本能 〜「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み〜

4. 恐怖本能 〜危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み〜

5. 過大視本能 〜「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み〜

6. パターン化本能 〜「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み〜

7. 宿命本能 〜「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み〜

8. 単純化本能 〜「世界はひとつの切り口で解決できる」という思い込み〜

9. 犯人捜し本能 〜「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み〜

10. 焦り本能 〜「いますぐ手を打たないと大変になる」という思い込み〜

今は世界の人々を4つの所得レベルでグループ分けするとスッキリする

レベル 所得/日 人口
レベル1 〜2ドル 10億人
レベル2 〜8ドル 30億人 ●●●
レベル3 〜32ドル 20億人 ●●
レベル4 32ドル以上 10億人

日本人のほとんどはレベル4に属しています*1。日本で生活しているとレベル4の世界とよくわからない極貧国の2つに分けられると勘違いしてしまいます。しかし、現実は所得レベルで大きく4つに分けられ、多様な暮らしが世界にはあります。本書では各レベルの暮らしを図とともに紹介してくれています。また、全体的に人々の所得レベルは上がってきています。

著者らが開発したGapminderでビジュアル的に世界を捉えることができます。
www.gapminder.org

比較と割り算で数字の重要性を正しく捉える

日常には数字が溢れています。不正なお金を使った!とニュースになるときに、その金額がでかでかと出されますが、多くは比較なしに報道されます。ひとつしかない数字をニュースで見たときは問いかけが必要です。どの数字と比べるべきか?どの数字で割るべきか?ひとりあたりだとどうなるか?などです。
最近だと、子供の交通事故死が多く報道されており、日本中の子供たちが次々に交通事故死しているように感じます。この場合だと、年間の交通事故死数のうちの子供の割合の推移を見る必要があります。加えて、子供の人口推移で死亡割合も出しても良いかも知れません。そうすると統計的な実態が見えてくると思います。

おわりに

事実を正しく捉えることはとても難しいです。今は多くの情報が溢れており、そこからの取捨選択は困難を極めます。その時の判断の武器として本書が役に立つと思います。本書の最後にはファクトフルネスを実践するおおまかな方針も示してくれています。この方針を信じて使うことで、良い世界に近づけていけるのではないかと思います。*2

*1:世界向け製品開発を考える場合、レベル1〜3の人たちも考慮すべきと考えます。

*2:本能は先天的に有している機能なので、本能に従う方が楽ではありますが。