はじめに
『T式 ブレインライティング』の特性について、実施した内容から考察します。『T式 ブレインライティング』の特性は、『T式 ブレインライティング』の教科書の第一章にて説明されています。
『T式 ブレインライティング』の特性7つ
- 主催者の準備が7割
- 多様な視点が命
- 密度の濃い一時間
- 書くことの効用は絶大
- 誰にでもできそうと思わせる緩い制約
- さまざまなプレッシャーを作り発想を促進
- 紙(シート)の前に平等
主催者の準備が7割
全くその通りでした。本発想法に限らず、会議を行う際はその準備が非常に重要です。会議の目的や進行方法をどのようにするかなど。これらの準備が成功させるために7割の比重があるということは全くその通りです。準備は大切です。
本会議において準備する項目を下記のように整理しました。
課題設定
本会議で議論したい課題を設定します。主催者自身が課題を明確にしていないとそもそもスタートしません。はじめに課題は何であるかを改めて考える必要があります。課題を一言で表現できその課題に関するキーワードがいくつか抽出できたら、課題が明確になったと言えるでしょう。
情報収集/整理
設定した課題に関する情報収集及びその整理を行います。会議の最初に議論する課題について説明するためです。私が実施した際には、3時間ほどネット上の情報を漁りそれらをまとめる作業を行いました。そして、その情報収集結果から、議論のアイデアの視点を5つ程度挙げておくことが重要と考えます。参加者はこの視点に限って発想する制約はありませんが、視点の例を挙げることで新たな発想が生まれることがあります。
ここまでが事前準備となります。以下は会議始めに行うブリーフィングにおけるライティングの準備*1についてです。
T式 ブレインライティングの手順説明
これは、自身のページになりますがこちらのページを参照して説明すれば良いでしょう。
ルールの共有
ブリーフィングにおいて書き方のルールを共有しておく必要があります。私が実施した際には、このルールの共有が不十分で参加者を不要に迷わせてしまいました。ルールは欲しいアイデアの性質によって変わりますが、私が共有しておくべきと考えるルールは以下の通りです。
・回されたシート以外は閲覧NG
・批判するアイデアでもOK
・書く時間は適宜変更する
・書くアイデアの数は1個でもOK
・殴り書きレベルのアイデアでもOK
・発散させる方向に書いてもOK
アイデア出しのイメージの共有
ブリーフィングでもう一つ準備しておくべき項目がこのアイデア出しのイメージの共有です。特に1回目は白紙に書く必要があり、初参加の場合なかなかとっつきにくいです。そこで、別のお題での具体例などを示し、書くイメージをもってもらう必要があります。例は、『T式 ブレインライティング』の教科書にたくさん紹介されています。
多様な視点が命
この観点については、あまり強く意識しなくても達成されやすい項目と考えます。アイデア発想に関して似通った考えを持つ人物同士が同席することの方が稀な気がします。一度しか実践していないのでなんともなのですが、一度実践した感覚ではそんな感じです。
密度の濃い一時間
全くその通りでした。全員が紙に書いて発想するため、時間の無駄がありません。また他のアイデアを観る機会は限られているため、アイデアが重複する懸念があります。しかし、実践してみると、アイデアが重複することはありませんでした。仮に重複したとしても、そもそも発想されるすべてのアイデアが有用であることは有り得ないため、そんなに心配することでもないです。むしろ、複数名が発想されるほど有用なアイデアとも考えられます。
書くことの効用は絶大
全くその通りでした。口頭だけの議論で出ては消えるアイデアではなく、一つ一つが文字として形になるこのT式ブレインライティングは圧倒的なパワーを持つ発想法と思います。この特性は大きな長所と考えます。ただし、書くためには参加者のそれなりの能力を必要とします。ここらへんの考察はまた別の機会にします。
誰にでもできそうと思わせる緩い制約
これはそうでもないと思いました。参加者には2アイデア×4ラウンドの合計8アイデアの創出を要求しますが、これはかなり重いです。課題設定の内容にもよりますが、T式ブレインライティングの記入用紙はかなり具体的なアイデアを要求するため、2アイデアでも結構なプレッシャーになります。そのため、ブリーフィング時には参加者へ適宜ハードルを下げる言葉をかける必要があると感じました。
さまざまなプレッシャーを作り発想を促進
これはオンラインで行ったため、手書きの音などのプレッシャーをお互いに感じることはなかったと思います。ただし、キーボードの打鍵音はお互い少しは聞こえていたような気もします。そもそも、時間という圧倒的なプレッシャーを全員が感じており、それがアイデア発想にどこまで結びついたか、というところです。あまりこの観点では振り返っていないのでパスです。
紙(シート)の前に平等
ここもあまり振り返れていないです。今回の参加者は友人の関係でそもそも平等な関係であったため、上下関係を無視できるという効果は期待していませんでした。想像するに、書いているときは上下関係を無視できたとしても、アイデア出しが終わった後の共有方法に工夫を入れないと、そこでまた面倒なことが起こりそうに思いました。アイデアごとに発想者の名前を記述する構成のため。上下関係がある中で会議を実施する場合は特性を、よく考慮する必要があると思います。
おわりに
『T式 ブレインライティング』の特性について、実施した内容から考察しました。振り返ってみると、「主催者の準備が7割」の特性をしっかり意識することが非常に重要だと感じました。そして、その結果「書くことの効用は絶大」の大きな効果を得られるのが、この『T式 ブレインライティング』だと思います。準備が大変ですが、それに見合ったアイデアは発想されやすいと思いますので、適切な場があればまた実践したいと思います。
*1:T式ブレインライティング(オンライン版)の手順
第一部 T式ブレインライティングの記入
2. 主催者より、扱うテーマの説明をします。テーマに関する質疑も含みます。
に該当します。