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派生開発、組み込み開発周りのこと。

「具体⇔抽象」トレーニング 【書籍レビュー】

はじめに

ものごとを考えるときには、前提を意識すべきです。特にコミュニケーションにおいて、相手と前提が異なると会話が噛み合いません。例えば、5万円が高いか安いかと議論するときに、そのお題だけ渡されたら議論になりません。一食の一人分のお会計の5万円なら高いかもしれないし、一人暮らしの家賃の5万円なら安いかもしれません。このような前提の不一致によるコミュニケーションギャップは至るところで発生しています。本書はギャップが発生する原因として"「具体と抽象」の視点の欠如"をあげています。
そこで本書では、「具体と抽象」の視点を様々な言葉と図で提供してくれます。一冊かけて丁寧に「具体化とは?」「抽象化とは?」について紐解いてくれます。「具体の世界」と「抽象の世界」を行き来する橋をかけてくれます。
「抽象化」ってよくわからないけど、重要だと思う。「本質」を考えるってなんなんだ?何事も「具体化」しないと駄目なのか?などこういった感じのことを思ったことがある方は是非読んでみてはいかがでしょうか?本書でかなりスッキリすると思います。

構成

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本書帯より引用

この構成図はとてもわかりやすく、抽象化の素晴らしい具体例と思います。本書の全体像、各章のつながり、具体と抽象の関係、などがコンパクトにまとまっています。

目次

第1章 なぜ具体と抽象が重要なのか?
第2章 具体と抽象とは何か?
第3章 抽象化とは?
第4章 具体化とは?
第5章 「具体⇔抽象ピラミッド」で世界を眺める
第6章 言葉とアナロジーへの応用
第7章 具体と抽象の使用上の注意

書籍内の目次にはさらに、節、項の記載もあります。それらも含めた目次を読むだけでも本書は価値があると思います。

第3章 抽象化とは? の節の抜粋

抽象化とは「まとめて一つにする」こと
抽象化とは「都合の良いように切り取る」こと
抽象化とは「Whyを問う」こと

このように抽象化とは「XXX」こと、と14個に具体化しています。また具体化についても同様に6個に具体化しています。「具体⇔抽象」の奥深さの一端と思います。

おわりに

いろんな方が読むと良いように思う本書ですが、実は本書内で想定読者はばっさり切っています。本書の想定読者は"「抽象化と具体化(の往復)」をやりたいと考えている人"とのことでした。
以上、「具体⇔抽象」トレーニングを紹介しました。